ふるさとの自然を、まもり育てる。

ミヤマアカネ保全活動

ミヤマアカネ保全活動について

「唐津ではあまり見られないのだが、七山では一度網をふると5~6頭一度に入ってくる。」

これは1969年の唐津東高校生物部の部誌にあるミヤマアカネについての記述です。
七山とは現在の唐津市七山(当時は東松浦郡七山村)のことで、かつて山間部の田んぼでもっとも普通に見られた赤とんぼはミヤマアカネでした。
ところが1980年代を境に個体数が激減し、現在は絶滅寸前です。

ごく普通に見られたミヤマアカネがなぜここまで減ったのか。
ミヤマアカネは赤とんぼ類の中で唯一の流水性(幼虫が流れのある水辺に生息)のトンボです。かつての山間部の田んぼの水管理はかけ流しで、上の田んぼから下の田んぼへとゆっくりと水が流れ、田んぼ全体が緩やかな流水環境でした。ミヤマアカネはこの環境を利用し数を増やしていき、山間部の田んぼでの最普通種になったと考えられています。

しかし、1980年代に山間部の田んぼで圃場整備が行われ、田んぼから田んぼへのかけ流しをやめ、個々の田んぼで必要に応じた水管理ができるようにポンプ揚水とパイプラインが設置され、田んぼは止水環境となりました。
また、同時に乾田化が進んでいきます。目的は機械作業による農作業の省力化(重労働からの解放)です。
農地が生産の場であることを考えれば当然の施策でしたが、流水環境に生息するミヤマアカネは生息環境を大幅に失うことになりました。
このため1990年代にはミヤマアカネに代わって止水性の(※)マユタテアカネ、アキアカネ、ナツアカネなどが山間部の田んぼの代表種となり、ミヤマアカネを見かけることはなくなりました。
以上が、ミヤマアカネ激減のシナリオです。

現在知られている限りでは、ミヤマアカネは佐賀市富士町古湯付近の河川敷の細流や山すそからの湧出水が作る貧弱な流水環境で、細々と世代を繰り返しています。そこで、NPO法人SATOMORIは、この場所でミヤマアカネ生息地の保全活動を開始しました。
産卵場所となる水面を覆うツルヨシなどの植物を切り払って、ミヤマアカネが産卵しやすい環境を維持する活動を続けています。保全活動には地元の富士小学校の5年生児童が毎年協力してくれています。

翅に帯があり日本の赤とんぼの中で最も美しいといわれるミヤマアカネ。その姿が絶えることがないよう、これからも活動を続けていきます。

※ミヤマアカネに代わって山間部の田んぼで優占種となったマユタテアカネなども、今ではまったく見られなくなりました。
原因は農薬の影響が強く疑われています。

ミヤマアカネギャラリー

活動の様子

2022年ちょっと数が増えました

2023年も保全活動を継続

 

 

 

 

 

 

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